コンペやツイッターで発表した短歌や俳句や川柳を載せていきます。都度更新。
明日をちゃんと越えられるのか越えてください俺に優しいセールのきんぴら
(「文芸おぢや第38号」佳作)
犬じゃなくてよかったあなたと同じ種でよかった透明なしっぽが揺れる
行く途中からずぶぬれになった就職活動のひとのジーンズ
先生に会いに行ったパソコンで打つことにした履歴書持って
ハンバーガーポテトのSとアップルパイ三五〇円 しょうがないの
メロンパフェ無職だけどメロンパフェ
ポップコーンなしでも成立する映画
かわいいをつくる努力を遺伝子組換
日向のわたしと陰のわたしを抱き寄せてスカート丈を直して走る
(第4回福岡女学院短歌コンクール 入選)
健全に好きだ背中の日焼け跡
(「文芸おぢや」俳句部門 特選)
焼き鳥の匂いでよだれが垂れた君アスファルトのよだれをじっと見る僕
好きな人はいつも病んでて新しい悩みができたら新曲を作る
手のひらのホクロを数えてなぞってゆくスキってさりげなく書いた
(前田純孝賞 新温泉町教育長賞)
本当のことはいつも分からないきみの名前に雨とあること
明日のためブーツに入れる五円玉フリーキックの選手の気持ち
どいつもこいつも流れるように付き合いだす特急電車が止まらない駅
はぁ誰かチューしてくれ俺の尻に聖なる尻にチューしてくれ
さよならは突然にして降ってくるたらいみたいに上で待ってる
足並みをそろえることに少しだけ抗ってみる十五のピアス
三味線ならあなたの今日の出来事の長い話にベベンと言います
(「文芸おぢや」特選)
前髪の先が濡れてる夕闇にうつむく彼女のローファーが鳴る
話したり話さなかったりする日々のスカートのひだはゆるく解けて
(西日本新聞北九州版に掲載)
生き延びるために予約を入れているこの先何が起こるか知らない
少年は死ぬほど辛いこともなくくるぶし丈の夏は過ぎゆく
(全国短歌大会 佳作)
水彩のブルーのようなそらいろに恋したかもめは涙をはじく
あなたが来るシルエットだけで心臓は止まって話してまた動きだす
2019.3.20
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