詩「カビカビのわたし」
- 菊竹胡乃美
- 2018年11月5日
- 読了時間: 2分
更新日:2018年11月16日
深呼吸をしても
胸が落ち着かない
いろんなことが脳みそにある
クリームチーズにカビが生えたみたいな
そんな感覚
生まれた頃は
楽しいことしかないと思ってたのに
意外とそうでなくて
逆にビックリ
わたしもみんなもだいじょばなかった
おばあちゃまに世の中生きづらいと相談したら
みんな生きづらいんだよ、と
言われてしまった
わたしはひとり部屋に戻って
泣いてしまった
なんでか悲しかった
二十歳になったら大人なんだって
そんなスッパリ大人になれる?
お年玉も打ち止めされた
漠然とした不安が
頭にこびりついて離れない
そんな夜は
「23時ラジオ」を聴く
「一行の遺書を書くとしたら
どんなことを書く?」だって
なんて書こう
宛名は誰にしよう
「暗い世の中だけど
明るく生きる努力を!!!」
ラジオがそう励ましていた
腐ってても美しくありたい
腐ることで美しさがきわだつような
そんなひとになりたい
若さは武器だけど
若さだけじゃない
バウムクーヘンみたいな時間が
わたしをふちどる
小さい頃のわたしが
いまのわたしのこころのなか
うずくまって泣いている
小さい頃のわたしは
まるで我が子
だきしめてだきしめて
この子を守らなければと思って
脳みそにうずうずしている
心配事と手をつないで歩けば
少しずつ変わっていく
あいかわらず
カビカビしているわたしは
「なんかいい感じ」になりたくて
あいかわらずカビカビする

2018.11.3
ポエトリー・サラダボウル@大分にて朗読
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